COMMENT

本作にもコメントをお寄せ頂いた、ディスコDJの草分け的存在で現役を貫き通された松本みつぐさんが2017年7月21日ご逝去されました。
享年63。心よりご冥福をお祈り申し上げます。

2014年、テキサス州オースティンで行なわれているSXSWという音楽のコンベンションのプレビューでこの映画を見た。その時はプロモーションでメンフィスのミュージシャン達もSXSWにきて演奏した。10数年ぶりにホッジス3兄弟にも会った。ただギターのティニーはその後体調を崩しすぐにダラスの病院に入院したが6月に亡くなった。その時が彼との最後になってしまった。さてこの映画だが1976年、アン・ピーブルスやシル・ジョンソンのツアーの交渉で行った時、ウィリー・ミッチェルのロイヤル・スタジオでアンがレコーディングしていて彼を紹介してくれた。そのウィリーやロイヤルにまつわる話も出てくる。たぶん若い人たちには馴染みのない名前ばかりで恐縮だがアメリカのポップ・ミュージック、特に黒人音楽の歴史を語る上で外せないのがメンフィスだ。エルヴィス・プレスリーはもちろんだが、彼以外にも多くのミュージシャンがメンフィスで活動し音楽を作っていたことが良く分かる素晴らしい映画だ。音楽ファンならぜひ観てほしい。

【麻田 浩(SXSW Japan Rep.トムスキャビン代表)】

アトランタ、マッスル・ショールズ、ジャクソン、ニューオリンズ、そしてメンフィス、アメリカ南部に強い思いを持つ私にとって納得の作品です。Mr.ウィリー・ミッチェルと義弟ウイリアム・ブラウンのロイヤル・スタジオ、オーティス・クレイ、そしてルーファス・トーマスは私とメンフィスを結ぶ大切な友人でした。先人がいてこそ今がある。この考えはソウル・ダンスの世界でも大切にしています。

【江守 藹(イラストレーター/公益社団法人日本ストリートダンス教育研究所理事長)】

音楽するための基本がギッシリと詰まった秀作!何度も何度も観たくなってしまいます!!音楽に打ち込む、ソウルする、ロックするっていうことはコレなんです。出演者、制作スタッフ、全員の情熱に胸打たれました。

【金子マリ(ロック・シンガー)】

メンフィス出身のココ・テイラーのバンドに在籍していたので、ここには何度も行った。ミシシッピーの風景が懐かしい。そしてオーティス・クレイ、チャーリ・マッセルホワイト、ヒューバート・サムリン、ティーニー・ホッジス、ボビー・ラッシュ、ボビー“ブルー”ブランド、カ―ク・ウェイラム、アイザック・ヘイズ、メイヴィス・ステイプルズ。共演したりいろいろ話したことのあるアーティストがこぞって出演。彼らはまさにレジェンドなのだ。音楽の素晴らしさをこの作品は見事に描いている。老いも若きも、ソウル・フリークもブルース愛好家もロック・クレージーも、ミュージシャンも音楽を学んでいる若者も、音楽を愛するすべて人々に捧げられた名作映画だ。

【菊田 俊介(ブルース・ギタリスト)】

渋谷の映画館でワッツタックスを見たのはいつだったか。何度も通ったのを思い出します。また、あの場所に行こう。あのときは、L.Aでした。今度は、メンフィス!渋谷じゃないんだよ。

【甲本ヒロト(ザ・クロマニヨンズ)】

booker T からissac hayes からsnoop doggy dogg から robert plant まで、ジャンルの垣根を超えての感動の絆!コッペはちっちゃなレーベル mango + sweet rice records を立ち上げてから22年間ず〜っとエレクトロニカして来ているけれど。。。久々に聴いた stax sounds に超〜〜〜魅かれちゃってマピュ〜っ!本物のレジェンド達から溢れ出してくる糖蜜みたいなフレーズとエネルギーの連続で、やっぱりミュージックが最高!って改めて実感させてくれる見逃せない作品! とにかく観てホピイ〜っ!
take me to the riverrrrrrrrr !!!

【coppé( www.sweetrice.com )】

メンフィスは私たちブルースやソウル・ミュージックの愛好家にとっては聖地です。米国滞在経験通算12年以上ですが、実は数年前に初めてメンフィスを訪れました。ここでは昔から黒人も白人も一緒に仲良く音楽をやってきたという歴史があり、とてもフレンドリーな雰囲気を感じました。この映画は、この町の過去から未来への流れ、そして人種・性別・年齢に関係なく音楽が人々をつなぐ素晴らしさを実感させてくれます。

【CK(翻訳家・ブルース愛好家)】

メンフィスがすばらしい音楽を生んできたのは単に才能溢れる人々が集まったからではない。その独特の風土こそがそれを生み出したのだ。まさに映像を通して実感したメンフィスのマジック。

【鈴木 啓志(音楽評論家)】

世代を超えたミューシャンたちの交流にほっこりする映画です。これを見ていると、古きよきメンフィスの音楽も確実に今日までつながっていて、これを未来に残していかなければというミュージシャンたちの強い思いを感じるのです。出演者の中には、既に故人となった人も多く、ボビー・ブランドやスキップ・ピッツといったレジェンドの元気な姿が見られるという意味でも貴重な作品だと思います。

【陶守 正寛(音楽ライター ブルース銀座主宰)】

何度も込み上げ、何度も涙しました。ミシシッピ・デルタの豊潤な土壌が音楽を大きく育て、その音楽が全米を、そして世界に多大な影響を与えました。この映画こそポピュラー・ミュージックの歴史教科書。音楽家は必見!

【つのだ☆ひろ(音楽家)】

ボク自身は、今まであれ程好きで崇めてすらいたアメリカという国への気持ちは、ここのところ冷めて来ている。それは年齢のせいかもしれないし、トランプみたいな大統領が誕生させられてしまったせいかもしれない(アメリカという国が築き上げてきた“世界”の消費期限が切れ、新たな世界観を、きっとボクらは必要としているのだ) ところへ、この映画である。ミュージシャンとして我々日本人は、このような愛を持てなかった。音楽に対する愛、先人や後輩に対する愛、地元に対する愛、そして国への愛。「楽しみ」だけでなく、愛がその中心にセットされている音楽は深い。その深さが、人種、宗教、環境、哲学を越えて、人々を柔らかなクッションのように受け止める。この映画で目に映らないし語られないが、その大きな愛が、観る人間の心に(魂に、と言ってもいい)優しく染み込んでくる。ああ、おれ達もこのように「あるべき」だったと思う。そして、これからもこのように音楽を愛する人間として生きて行かなきゃなと思う。

【ドン・マツオ(ズボンズ)】

"Take Me To The River”というタイトルを見ただけで「メンフィス・ソウルの貴公子」と呼ばれたあのアル・グリーンの豊潤な歌声と暖かいハイ・サウンドが頭に流れてくる。このフィルムにはメンフィス・ソウルだけでなく様々なメンフィスの黒人音楽を世界に送り出した伝説のロイヤル・スタジオが現れる。そして、メイヴィス、ボビー・ブランド、ボビー・ラッシュ、オーティス・クレイ、ホッジズ・ブラザーズなど憧れのミュージシャンたちに会える・・・Take Me To The Movie Theater !

【永井“ホトケ”隆(blues.the-butcher-590213)】

この作品はポピュラー音楽史に偉大な足跡を残したメンフィス・サウンドを現代の若者たちに継承していこうと、巨匠と若いアーティストをメンフィスに集めて行われた一大レコーディング・セッションの模様を、1960年代の歴史的映像と共に編集したもので、ブッカー・T.ジョーンズ、アイザック・ヘイズ、メイヴィス・ステイプルズ(79年にニューヨーク/カーネギー・ホールで山下達郎クンと一緒に観たことを思い出しました)、そして惜しくも収録後に故人となったボビー“ブルー”ブランドやチャールズ“スキップ”ピッツなど、メンフィス・ソウルの立役者総出演の、何とも濃い濃い内容です。今の若者たちにはあまり知られていないと思われる黒人差別や黒人公民権運動にも触れられており、メンフィスのソウル(精神)を伝えるだけでなく、社会派としての側面も持つ、なかなかラディカルな映画です。でも、音楽はあくまでも楽しく、ディープだけどクール!

【難波 弘之( キーボード・プレイヤー 東京音楽大学教授)】

映画観終わって、興奮して涙うるうるしながら「イイネ〜凄いね〜」と連れ合いに言ったら
「当たり前だろ、本物だもの」と一蹴。
ああ、きっと自分は一生「なんちゃって」なんだけど、それでもブルース好きになって幸せ!
またメンフィスに飛んで行きたくなりました。

【根岸季衣(女優/ 季衣&The Blues Road )】

まるでスタジオで立ち会っているような臨場感の中、メンフィスゆかりのR&B巨匠たちが、生き生きと次世代のミュージシャンたちとセッションする姿に嬉しくなる。音楽への愛、音楽の力に満ちた作品です。

【濱田 廣也(雑誌ブルース&ソウル・レコーズ編集長)】

ついこの前、映画『黄金のメロディー マッスル・ショールズ』でスワンプ・サウンズを堪能したばかりなのに、今度は『約束の地、メンフィス~テイク・ミー・トゥー・ザ・リバー』で描かれる、スタックス・レコードだ。自分が14歳でビートルズと出会う前、小学生の時に夢中になっていたのはエルヴィス・プレスリーだった。そして25歳で初期頭脳警察を解散して、ソロ・アルバム「PANTAX'S WORLD」を作るときに、来日するドゥービー・ブラザースに同行するメンフィス・ホーンズをレコーディングに呼びたかったのだがスケジュールが合わず、PANTAX'S HORNSを編成し、レコーディングに臨んだ。ブッカー・T.はもちろん、スティーヴ・クロッパー、ルーファス・トーマス、エルヴィス、ステイプルズもみんなミシシッピ・デルタ、メンフィス・テネシーの言葉の響きと共に自分の音楽の故郷でもあり、いまだに憧れの地そしてミュージシャンであることは間違いない。あまりに知り合いのブルースマンがシカゴにいるので、チャーリー・マッセルホワイトの「シカゴのサウス・サイドはメンフィスのノース・サイドだ」の発言に受け、「ホールド・オン・アイム・カミン」のトイレのエピソードには驚いて笑ってしまい、メイヴィル・ステイプルズが「ウイッシュ・アイ・ハド・アンサード」をやろうとして、ネットで探せと指示するのが、どこも一緒だと可笑しくてたまらなかった。最高の歌を聴かせてくれるボビー“ブルー”ブランドがウィリアム・ベルをバプテスト的(感情的)と評し、ナット・キング・コールをメソジスト(言語的)的と言っていたのが強く印象に残っている。とにかくマニアはもちろん、多くの友人たちにも、いい音楽にジャンルはないということで、映画『沈黙~サイレンス』と同じようにこんな素晴らしい音楽と一緒にいられる幸せを味合わせたい、とかく閉塞状況に追い込まれている音楽関係者などはとくに、音楽の原点があるというよりも、ここには、自分たちが見た古い未来と形は変わったけれど、新しい未来をみられる過去があるということを強くお薦めしたい。そしていままでこの手の映画で、日本語の訳にもけっこう突っ込みたいところがいっぱいあるものだが、この作品は、そのニュアンスが自然に、そして音楽的にしっくりと身体に入ってくる、自分がまるで同じファミリーで、そこのスタジオにいるように。何度も言おう、たまらない映画です。音楽の原点と未来がここにある。キング牧師のことなども書き出したら止まらないので、とにかく映画を観てください、そして思い切りメンフィス・サウンドを堪能してください・・♬♬。

【PANTA(頭脳警察)】

“オーティス”という1970年代新宿歌舞伎町のディスコDJ仲間がいる。彼のDJネームはオーティス・クレイから由来、テーマ曲は「愛なき世界で」(勿論ライヴ・バージョン)である。メンフィスをも拠点としたアトランティック・レコード。ウィルソン・ピケット、スピナーズ、サム&ディヴ、アレサ・フランクリンなどを輩出した同レーベルを含むメンフィス出身のアーティスト達の活躍がなくして現在のディスコ&クラブ・シーンは、あり得ない!この映画を観ればあなたのディスコ&クラブ・ライフは、10倍楽しくなる!!

【松本 みつぐ(ディスコ赤シャツDJ)】

ローリング・ストーンズが愛して止まないブルースばかりを集めたカヴァー・アルバムをリリースした2016年。時代の機運に促されるようにアメリカのルーツ音楽にスポットが当たるのも当然だったのかも知れない。かの地、メンフィスでも、ブッカーT.ジョーンズやメイヴィス・ステイプルズら伝説のミュージシャンを名門ロイヤル・スタジオ他に呼び寄せて新たなレコーディングが行われていた。しかも、ラッパーを中心にした若い世代のアーティストたちを共演させて。この破天荒なプロジェクトをスタックスの盛衰に象徴的な南部における黒人差別の歴史と照らし合わせながら追った本作。セッションの現場を仕切っているのが、あのジム・ディッキンソンの息子ふたりとハイ・レコードの設立者、 ウィリー・ミッチェルの息子、というのも感慨深いけれど、この収録後に亡くなったボビー・ブランド、スキップ・ポッツら巨匠たちが、若いミュージシャンに直接向き合って、プレイの秘訣を惜しげもなく伝授してゆくシーンが印象深く。WEBで検索しても決して探せない音楽の本質を垣間見せてくれていて、何よりも感動的だ。

【MOTO(ツタプレ 音楽コンシェルジュ)】

大好きな街テネシー州メンフィスで誕生した、素晴らしい音楽の魅力を実に素直に描いています。レジェンダリーなアーティストと、新生代のラッパーや10代のまさに音楽を勉強中の若者たちが、真っ向からぶつかり合いながらメンフィス・サウンドを検証し伝承していくシーンに、何度か涙しました。4月に来日したポール・マッカートニーにも、この作品のプロモDVDを手渡しました。きっと今ごろポールも……。音楽ドキュメンタリーの秀作です。

【湯川れい子 (音楽評論家 作詞家)】

メンフィスのレジェンドたちと、若きアーティストたちとの触れ合いから生まれるリアルなソウル・ミュージック。時代を超越したソウルとソウルのぶつかりあいが、映画『約束の地、メンフィス~テイク・ミー・トゥー・ザ・リバー』だ。

【吉岡 正晴(music journalist, radio dj)】

僕はこの作品に映し出されるサム・ムーアやアイザック・ヘイズらと一緒に演奏したことがある。とても幸運なことだと思う。アイザックと一緒になったのはCBS-TVのモーニング・ショー。朝の5時にスタジオに行かなくちゃならなかった。リハして実際に演奏したのは8時半か8時45分、だって音楽は最後だからね。その時、僕はフルートを吹いたんだ。演奏が終わってショーはジ・エンド。夏で天気がよく、外に沢山の人がいて、アイザックが「もっと聞きたいかい」って言ったら、皆が「イエー」。放送外だったけど結局また30分くらいも演奏しちゃったよ。アイザックはスタックス・レコードに名作を残した伝説のアーティストだ。

【ルー“ブルー・ルー“マリー二(サックス奏者/ブルース・ブラザーズ・バンド ジョン・トロペイ・バンド】

メンフィスという地が生んだパワーに満ちた音楽を、次世代に繋ぎ続けるために立ち上がるレジェンド達の力強い姿に、涙と鳥肌が止まらない。”継承”することの大切さを改めて感じた。
数年前、私もメンフィスを旅し、ROYAL STUDIOSやSTAXを訪れました。足を踏み入れた瞬間に感じた、その地に渦巻く凄まじいエネルギーは、未だに全身が覚えています。レジェンド達のライヴを生で観られる貴重な機会がある限り、次世代である我々は絶対に逃してはいけない。そしてその音楽をまた次の世代へと繋ぎ続けていかなければと、深く感じました。

【ROY (THE BAWDIES) 】

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